Android 16の新機能と変更点まとめ
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

日本時間6月11日、Android 16が正式公開されました。
最速アップデートとして、まずはGoogle Pixelシリーズに配信がスタートしています。
最大の変更は新しいデザイン言語「Material 3 Expressive」の導入です。自然で弾みのあるアニメーションによって新しい操作感を実現しています。
また、Uber Eatsなどのフードデリバリーの配達状況をリアルタイムに確認できる「ライブアップデート」も追加されました。
この記事では。Android 16の新機能や変更点、対応機種、配信時期などをまとめています。Android 17が正式公開されるまで情報を随時更新します。
Android 16の配信スケジュール
Android 16は、約8か月にわたるデベロッパープレビュー版とベータ版の提供期間を経て、2025年6月11日に初の正式版がリリースされました。
今後は第4四半期にSDKのマイナーアップデートが予定されており、品質向上を目的とした更新も四半期ごとに提供される見込みです。
バージョン | 配信時期 | アップデート概要 |
---|---|---|
デベロッパープレビュー1 | 11月 | 初期ビルド。開発者のフィードバックに重点を置き、一部の新機能やAPI、動作の変更が含まれています |
デベロッパープレビュー2 | 12月 | 機能、API、動作変更を追加したインクリメントアップデート |
ベータ1 | 1月 | より手軽に導入できるベータ版の初期リリース |
ベータ2 | 2月 | ベータ版の品質インクリメントアップデート |
ベータ3 | 3月 | 最終的なAPIと動作など、最初のプラットフォーム安定版。Google Playストアでのアプリ公開も可能に |
ベータ4 | 4-5月 | 最終テストのための最終版ビルド |
正式版 | 2025年6月11日 | 正式配信スタート。月次アップデートとPixel Dropも配信 |
正式版 | 2025年10月から12月 | マイナーリリース。機能アップデートや最適化、バグの修正 |
Android 16の対応機種
現在案内されているAndroid 16の対応機種は以下のとおりです。
- Google Pixel 9a
- Google Pixel 9
- Google Pixel 9 Pro
- Google Pixel 9 Pro XL
- Google Pixel 9 Pro Fold
- Google Pixel 8
- Google Pixel 8 Pro
- Google Pixel 8a
- Google Pixel 7
- Google Pixel 7 Pro
- Google Pixel 7a
- Google Pixel 6
- Google Pixel 6 Pro
- Google Pixel 6a
お菓子なコードネームは“バクラヴァ”

Androidには歴代のバージョンほぼすべてにスイーツにまつわるコードネームがアルファベット順で付与されています。
一般的にコードネームは内部的なものですが、Androidは全面に打ち出して“K”にあたるAndroid 4.4では、KitKatとコラボレーションした世界的なプロモーションが展開されました。
Googleはさまざまな問題を理由に、Android 10以降はコードネームを全面に打ち出すことはやめていますが、内部コードそのものは今も存在しています。
法則に従えば、Android 16には“W”にあたるコードネームが付くはずでしたが、現時点では“Baklava”であることが確認されています。つまり、アルファベットがリセットされてBに戻るようです。
Baklava(バクラヴァ)は、中東や地中海地域を代表する伝統的なデザートです。フィロペストリーと呼ばれる非常に薄い生地の層を重ね、その間にナッツ(ピスタチオやクルミなど)を挟み、オーブンで焼き上げた後、蜂蜜やシロップをかけて仕上げます。甘さとナッツの風味が特徴です。 メリットとして、エネルギー源として良質なナッツ類を摂取できること、特別な時間や祝いの席に華を添えるデザートとして楽しめることが挙げられます。しかし、高カロリーなため、食べ過ぎには注意が必要です。初心者でも家庭で比較的簡単に試せるレシピが多くあります。
Androidの歴代コードネーム
バージョン | コードネーム | 由来のスイーツ |
---|---|---|
1.0 | ー | ー |
1.1 | ー | ー |
1.5 | Cupcake | カップケーキ |
1.6 | Donut | ドーナツ |
2.0-2.1 | Eclair | エクレア |
2.2 – 2.2.3 | Froyo | フローズンヨーグルト |
2.3 – 2.3.7 | Gingerbread | ジンジャーブレッド(クッキー) |
3.0 – 3.2.6 | Honeycomb | 蜂の巣 |
4.0 – 4.0.4 | Ice Cream Sandwich | アイスクリーム・サンドイッチ |
4.1 – 4.3.1 | Jelly Bean | ゼリービーンズ |
4.4 – 4.4.4 | KitKat | キットカット |
5.0 – 5.1.1 | Lollipop | ロリポップキャンディ |
6.0 – 6.0.1 | Marshmallow | マシュマロ |
7.0 – 7.1.2 | Nougat | ヌガー |
8.0 – 8.1 | Oreo | オレオ |
9 | Pie | パイ |
10 | Quince Tart(内部コード)Queen Cake(幻の外部コード) | クインスタルトクイーンケーキ |
11 | Red Velvet Cake | レッドベルベットケーキ |
12 | Snow Cone | かき氷 |
13 | Tiramisu | ティラミス |
14 | Upside Down Cake | アップサイドダウンケーキ |
15 | Vanilla Ice Cream | バニラアイスクリーム |
16 | Baklava | バクラバ |
4年ぶりの大幅なデザイン変更「Material 3 Expressive」

Android 16では、新しいデザイン言語の「Material 3 Expressive」が導入されます。
2021年に登場したAndroid 12の「Material You」以来、4年ぶりとなる大幅なデザイン変更になります。
Material 3 Expressiveの最大の変更は、自然で弾みのあるアニメーションがもたらす操作感です。
例えば、通知を消すために左右にスワイプすると、上下に表示される通知がスワイプ操作と連動するように引っ張られ、振動することで心地良い操作感を実現します。


通知シェードとクイック設定、画面ロック解除時のパスコード入力画面に透過デザインに刷新され、奥行きが強調された見た目に変化します。
通知シェードは操作性も向上します。ボタンが小さく操作しづらかった「すべて消去」ボタンは、画面の中央に大きく表示されます。
また、クイック設定の編集画面では、追加したいタイルをタップするだけで追加が可能に。クイック設定に並ぶタイルは最大8個から12個に拡張されます。
最後に画面下部に表示されるツールバーはレイヤー表示になり、選択しているカラーテーマに合わせて色付けされ、統一感のあるデザインになります。

なお、Material 3 ExpressiveはAndroid 16の初期リリースには導入されず、2025年内にアップデートで適用されます。
まったく新しい通知機能「ライブアップデート」
ロック画面と通知機能が強化されたAndroid 16では、進行状況をリアルタイムで確認できる新機能「ライブアップデート」が追加されました。
ライドシェアの配車状況やフードデリバリーの配達状況など、重要なアクティビティを監視し、ロック画面や通知領域に常時表示できます。
現時点で対応が明らかになっているのはUber Eatsのみですが、今後はスポーツの試合経過など、さらに多くの情報がリアルタイムで確認できるようになることが期待されます。

通知の自動グループ機能
グループチャットなどで通知が連続すると、通知画面が埋まり、スクロールが多く必要になることがあります。
Android 16では、情報過多を防ぐため、同じアプリからの通知を自動的にグループ化。これにより通知画面が整理され、より見やすく表示されます。

バッテリーの健康状態を確認
スマホのバッテリーは消耗品のため、充電と使用を繰り返したり、使用期間が経過するごとに劣化します。
劣化すると充電できる最大容量が減少して電池持ちが悪化します。
電池持ちが悪化した場合はバッテリーの交換が必要ですが、いつ交換すればいいのかわからない人が多いでしょう。
Android 16では、設定画面の「バッテリー」>「バッテリーの健全性」に進むと、バッテリーの健康状態を確認d形ます。


埋め込みフォトピッカー
スマホにはプライバシー性の高い写真や動画が膨大に保存されており、アプリが不正にアクセスできないようにAndroid 13では新しいフォトピッカーが導入されました。
新しいフォトピッカーを導入したアプリでは、利用者が許可した写真や動画にしかアクセスできず、すべての写真や動画にアクセスするには利用者の許可が必要です。
ただし、開発者の対応が必要なため、導入は進んでおらず、InstagramやX(旧Twitter)も独自のフォトピッカーを導入しています。
開発者が導入しない理由の1つは、オーバーレイ形式で表示されるため、インターフェースが分断されることにあります。
そこでAndroid 16では、見た目に違和感のないように埋め込みできるフォトピッカーが提供されます。
大画面の最適化

今回も大画面の最適化が実施されます。
現行のAndroidでは、大画面に最適化されていないアプリでは、左右に黒い余白が表示されます。ユーザーは設定を変更することで、強制的に全画面表示にすることも可能ですが、アプリごとの変更は面倒な作業です。
Android 16では、横幅が600dpより大きな画面を搭載するデバイスかつAPIレベル36をターゲットにビルドされたアプリを起動する場合、画面の向きやサイズ変更を制限するAPIがスルーされ、強制的に全画面表示になります。
開発者は拒否することもできますが、来年公開が予想されるAndroid 17でAPIレベル37をターゲットにビルドされたアプリおいては拒否もできなくなります。
なお、この変更はアプリのみが対象でゲームは対象外です。
タブレットでデスクトップのような体験
これまでのAndroidでは、1つのアプリをフルスクリーンで表示したり、画面分割モードを使って2つのアプリを並べることができます。
Android 16では、デスクトップと同じように複数のアプリウィンドウを並べたり、配置を変えたり、ウィンドウの大きさを変えることもできます。

また、独自のキーの組み合わせでよく使う機能を呼び出せる「カスタムキーボードショートカット」や、サムネイルによって起動しているアプリがずらっと並んだタスクバーから目的のアプリを見つけられる「タスクオーバーフロー」が2025年内に追加される予定です。
タブレットやスマートフォンを外部ディスプレイに接続して、より本格的にPCのような操作ができる機能も今後提供されると案内されています。
ワンタップでさまざまな脅威から保護するセキュリティ機能
Android 16では、ワンタップで手軽にセキュリティを強化できる「高度な保護機能」が追加されました。
設定画面でセキュリティとプライバシー>高度な保護機能に進んでオンにすると、有害なアプリや安全性の低い接続(特定の2Gなど)、危険なウェブサイト、詐欺電話、デバイスの盗難といったさまざまな脅威から保護することができます。


その他
- カメラ
- Camera2 APIに新しいハイブリッド自動露出モードが追加。完全なマニュアルと自動露出しかない現行の仕様がより柔軟に
- JPEG形式に加えて、HEIC形式のウルトラHDRがサポート追加。AVIFサポートにも取り組み
- 20%少ない容量で知覚的なロスレスビデオ品質を実現するAPVコーデックの対応
- 健康記録
- FHIRフォーマットで威力記録の読み書きが可能に
- 言語と地域
- 米国英語にしながらメートル法の設定が可能に
- エッジトゥエッジ表示の義務化
- Android 15でデフォルトになりつつも回避方法があったエッジトゥエッジ表示。回避用のAPIが廃止になり、完全標準に
- デバイス追跡の向上
- 縦書きテキストのサポート
- 補聴器
- LE Audio対応の補聴器を使用している際に、スマホのマイクに切り替えることで、騒がしい場所でもクリアな通話が可能に
- スマホから直接、音量の調整が可能に
- ハプティクス
- スライダーで音量や明るさを調整すると、その動きに連動した振動を発生
- アダプティブリフレッシュレート
- 電池を節約しつつ画面をなめらかに表示
- HDRスクリーンショット
- HDRコンテンツの品質、色、ディテールを保持してスクショが可能に
- 3ボタンナビゲーション
- 戻るボタンの長押しで戻る前に前の画面をプレビュー
- セキュリティ
- IDチェック:自宅や職場など信頼できる場所以外で機密情報にアクセスする際に生体認証を要求
正式発表されていない新機能と変更点
ここではGoogleから正式発表されていないものの、デベロッパープレビューやベータ版、ソースコードから確認された機能をまとめています。
将来的にGoogleから正式発表されたり、3ヶ月に一度の機能追加アップデートで追加されたり、最終的にリリースされないこともあります。
複数のBluetoothデバイスに音声共有
Android 16 DP1にて、一度に複数のBluetoothデバイスにオーディオを共有できる「音声の共有」機能の存在が確認されています。
これはBluetoothの新機能「Auracast」を利用したもので、1台のデバイスから送信された音声を複数のデバイスで受信できる機能です。
例えば、同じ音楽を別々のイヤホンで楽しんだり、無音のテレビの音声をそれぞれのイヤホンで楽しむことができます。
なお、オーディオ共有はAuracastに依存することもあって、対応機種はPixel 8aを除くPixel 8以降のモデルに限定されるようです。利用するには、Bluetooth LE Audioに対応したイヤホンが必要になります。
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